北京オリンピックにおける各国代表ユニフォーム(続報)

北京オリンピック・男女サッカー競技も準決勝を迎える。
男子は、ブラジル・アルゼンチン・ナイジェリア・イタリアのビッグ4の一角をベルギーが崩した。
準決勝はブラジル−アルゼンチンの南米対決と、そのベルギーがナイジェリアに挑む。
反町ジャパンは残念ながら3連敗で終戦。ホンジュラスと共に勝点0で大会を去った。

女子は、なでしこジャパンがホスト中国を破ってベスト4に進撃。
準決勝で世界ランク1位のアメリカに挑む。決勝にしろ、3位決定戦にしろ、
反対側のブロックはドイツかブラジル。いずれも格上だが、メダルに辿り着けるのか、楽しみである。

さて大会前に物議を醸した「オリンピック限定ユニフォーム」に関しては、
8月8日のエントリーにまとめたが、その後も動きがあったので続報しておく。

まず16ヶ国中6ヶ国を占めたadidas。
固有のブランドを連想させるデザインの自粛ということで、肩から腕の3本ラインを外した。
女子は07年モデルを着用している為、ゴルペ(中国・ドイツA・ナイジェリアA)や
オノーレ(ドイツH・ナイジェリアA)など特徴あるモデルが多いが、
男子はデザインがシンプルな08年モデルを着用している為、非常にクラシックな見映えとなった。

使用が制限された各国協会エンブレムに関しては、日本中国が国旗のみ、
オーストラリアベルギーナイジェリアが五輪用エンブレム(他競技とも共通)を使用している。
そんな中、唯一アルゼンチンだけが協会エンブレムを使用した為、IOCの指導が入り、
準々決勝からは何もつけていないユニフォームを着用している。
(写真では左胸にエンブレムの跡がついており、無理やり剥がした感もあるが、詳細は不明)

5ヶ国が着用したNIKEは、08-09年モデルはデザインの評価が非常に高かったが、
今回の五輪への対処は最も稚拙で評価を下げた。
元々のデザインがシンプルな為、通常モデルとの違いはエンブレムだけだった。
五輪用を用意したのはオランダのみ。
ニュージーランドは協会のシダマークの下に五輪マークをつけただけ。
アメリカは何もつけないユニフォームを着用していたが、準備が間に合わなかったのか、
3戦目ではエンブレムをシールで隠して着用という現代ではあるまじき愚行。
韓国は初戦は協会エンブレムを使用、2戦目では協会エンブレムを塗りつぶし、
さらに3戦目では何もつけずに着用というドタバタぶり。

ブラジルも優勝0回のオリンピックに、W杯優勝5回の5つ星付きの協会エンブレムで登場したが、
2016年にオリンピック自国開催を目指す同国オリンピック委員会からの要請もあり、
2戦目からは何も付けないユニフォームを着用している。
ところが、あろうことかMFアンデルソンは「めちゃくちゃな話だ」
「ブラジルは世界で5度王者に輝いた過去があり、自分たちはそれを胸にしているんだ」と
憤りをみせ、「でもこれは政治的な問題だし、選手が関わる必要のないことなんだろう」と発言。
「政治的」でも何でもなく、何ヶ月も前から決まっていたIOCの方針に対応できていなかった事を
棚に挙げた軽率な発言だ。
もちろんメーカーだけに責任があるとは思えないし、実際アルゼンチン(adidas)も同じような
経緯だが、それにしてもお粗末なことだ。

3ヶ国が着用しているPUMAは、堅実な対応。
イタリア、コートジボワール、カメルーンは、それぞれ五輪用のエンブレム(ワッペン)を
付けて着用している。デザイン的には、ホームv1.08、アウェーv3.08とも肩のPUMAマークを
外している。特徴のあるv3.08の衿元の国旗モチーフに関しては、イタリアがそのまま、
コートジボワールは外し、カメルーンは全試合でv3.08着用の為に確認できず、と対応が分かれた。

国内オリンピック委員会採用のKAPPAを着用したセルビアは、ワッペンも他競技でも使っているものを
採用している。ユニフォームのデザインはシンプルなものだ。

Jomaを採用したホンジュラスは、デザインも協会エンブレムも通常モデルと全く変えずに着用、
3戦全敗で、そのまま大会を去った。

結局、北中米と南米の4ヶ国+韓国がエンブレム問題に対して未対応であった。
単にサッカー協会の問題だけではなく、各国オリンピック委員会との関係もあるだろうが、
マーケティングが重要な意味合いを持ち、サッカーがビジネスとして機能している現代で、
今回のようなドタバタ劇が起きるのは、ある意味非常に珍しいことではある。
IOCとFIFAの不仲が遠因になっている感もなきにしもあらずである。



posted by yuuki_ono_99 at 16:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 2008北京五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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