
1745年に演奏された記録があり、国歌という概念が存在する前から歌われていたのがイングランドの¥「God Save the Queen」。しかし英国はこれを正式に国歌として制定しておらず、実は慣習として歌われているだけだ。TPOに応じて「クイーン」部分を「キング」と替えて歌う場合も。その覚えやすく歴史の長いメロディは、19世紀にドイツやアメリカなどさまざまな国に、国歌として真似されてきた。
ルーニーに「歌詞を知らない疑惑」が浮上し大騒ぎに。まったく口を開かないエースに、愛国者団体が「歌を教える」と打診したとか。


そんなアメリカだが、現在の国歌も元はロンドンの酒場で大流行していた酔っ払いの歌がルーツ。戦争を思わせる歌詞に批判はあるものの、明るく快活なアメリカ人らしい背景と言えるだろう。


一方、アルジェリアの国歌には暗い歴史が。フランスからの独立戦争中に投獄された作詞者が、獄中で書いたという。それゆえ「生か死か」「死ぬのだ」なんて歌詞も歌詞も感慨深い。歌詞の繰り返しが多く勇壮なメロディで、世界の中でも正統派の“ザ・革命歌”である。


対するスロベニアは、国歌としては珍しく自国のみならず全世界の自由と平和を望むもの。世界一“ピースフル”な歌詞をもった穏やかな国歌と言える。

D組 「ドイツの女最高!」とは? ボツの歌が人気が高い?

現在ドイツの国歌は3番が公式なものとして制定されている。それもそのはず、かのヒトラーが国威発揚に利用した1番の歌詞は「世界はぜんぶドイツのものだぜ!」という過激な内容。日本在住のドイツ人によると「今でも町中で1番を歌うとボコボコに殴られる」くらいのタブーなのだとか。ちなみに2番は「ドイツの女とワイン最高!」というもので、国民には2番の人気が高い。


国民の人気投票によっ国歌を定めたのは、オーストラリア。しかしその際、2位につけた『ワルツィング・マチルダ』のほうが国民には愛唱されている。流難の旅人を歌った歌詞で、牧歌的なオーストラリアにぴったりの名曲。流れ者っぽい風貌のJAYWALKもカバーしたことがあるほどだ。


2006年に単独の共和国となり初出場のセルビアは、今大会で最新の国歌が歌われる予定。といっても新しく作られたわけではなく、セルビア・モンテネグロ時代の国歌「スラヴ人よ」が廃止され、セルビア王国時代の国歌「正義の神よ」に戻るだけ。


2006年、韓国応援団による国歌斉唱妨害で話題に上がったガーナは元気のよい行進曲風。今回は静かに聴いてあげたい。

【引用】
SPA! 6月15日号「W杯出場32ヶ国の国歌がヤバい」
【関連記事】
出場国の国歌ウンチク話(A組・B組)
出場国の国歌ウンチク話(E組・F組)
出場国の国歌ウンチク話(G組・H組)