100万人以上のブラジリアンが参加したブラジル国内の命名キャンペーンで、3つの最終候補のうち、70%の支持を集めて採用された。『brazuca(ブラズーカ)』とは、ブラジル国民が自分たちに誇りを持って表現する言葉である。
デザインコンセプトは「voice of brazil」。視認性の高い白ベースを基調に、ブラジルを連想する緑、青、オレンジを加えた3色での構成。色それぞれ2パネルずつ使用し組み合わせ、組み合わせの中央にはブラジル国旗にも使用されているネイビーカラーと星々のデザインが施されている。
ワールドカップ公式試合球としては最少の“6枚のパネル“で構成されており、同時にパネル枚数の減少だけでなく、同一のパネル形状により構成されており、これによりボールバランス、飛行安定性が向上している。
Jabulani(ジャブラニ) 2010年南アフリカ大会
南アフリカ共和国の公用語のひとつ・ズールー語で「祝う」「祝杯」という意味である。
天候に左右されないキックの安定性を得るため、表面皮革パネル数を2006年大会使用球「チームガイスト」の14枚から6枚減らして8枚としている。またこの皮革には特殊なデザインが施され、これを組み合わせることにより「より完全な球体」へと近づけることができたという。さらに表面上には濡れた際の滑りやすさを抑えるための凹凸が施されている。これにより「無回転シュート」のボール変化は通常より大きくなるとされ、さらにワールドカップが行なわれる南アフリカでは試合会場の多くが標高1000m以上の高地にあることから、気圧によって特にロングキックやミドルシュートにおける伸び・変化はさらに大きくなると指摘されている。
大会直前には、ボールの感覚が今までのものと大きく異なり扱いづらいとして、世界各国の選手から酷評を受けた。その例としてキーパーのミスにより失点するケースの増加や、フリーキックによるゴール数の激減などが挙げられる。
+Teamgeist(チームガイスト) 2006年ドイツ大会
ドイツ語で精神を表し、英語ではspiritに対応する。即ち、teamgeistを英訳すると、Team spirit(チームスピリット)に相応し、これは日本語でも外来語として取り入れられているものに相応する。
ボールの外部パネルはプロペラ状のパネル6枚とローター状のパネル8枚の計14枚で構成されており、より真球に近い形状にするためのデザインが施されている。
サーマルボンディングと呼ばれる、パネル同士を特殊な接着剤と熱によって接着する技術が採用されていて、手縫いのものに比べてボール表面の凹凸がない。この技術はモルテンが開発し、アディタスに技術供与したものである。
このような特徴により、選手個人が持つ技術をそのままボールに伝え、正確なキックを可能にしている。その一方でゴールキーパーにとっては非常にやっかいなボールである(正確な分、軌跡を読みやすいとも言われ、不利はないとの意見もある)。
Fevernova(フィーバーノヴァ) 2002年日韓大会
デザインは1978 FIFAワールドカップの公式使用球Tangoから伝統的に使用されつづけたものから脱却が図られ、色鮮やかで革新的なデザインとなっている。そのデザインの最大の特徴は、トライゴンと呼ばれる4つの手裏剣をモチーフとした形から成るグラフィックである。これは、金色の部分は日本と韓国がワールドカップの為に努力するエネルギーを、炎は両国の経済成長の原動力となった火を、4つの三角形状の模様は両国の均衡した産業の成長をイメージしたものである。また、この形は開発が進められていた新型のサッカーボールチームガイストのパネルの形状の一つがひそかにあらわされたものとも言われている。
【参考サイト】
The Evolution of the World Cup Ball