「真っ赤なレ・ブルー」の波紋

昨日発売のサッカーマガジンに興味深い記事が掲載されていたので、紹介しておく。

フランス代表が08-09adidasニューモデルで赤いアウェーモデルを採用し、
話題を振りまいたことは当ブログでもレポートした。
ボクのような第三者的には、「画像コレクションのバリエーションが増えた」くらいにしか思っていなかったが、当事者たち、つまりフランスの方々にとっては、どうもそんな簡単な事ではないらしい。

フランス08-09adidas赤青青3.jpg
Thierry Henry
 08/2/6 テストマッチ vs.スペイン 0-1  (AFP/Javier Soriano)

かのジャック・ティベール氏の文を紹介させていただくのも、おこがましいが、以下抜粋させていただく。

(以下、抜粋)

(前略)元フランス代表ジャン・ティガナが激怒している。(中略)
フランス協会が2月6日のスペイン戦で「若者たちによく受け入れられている色であり、それに国旗を構成するカラーでもあるこの色を拠り所として、喜びと祭りの観念をもって新たな方向に向かうために」、"レ・ブルー"(フランス代表の愛称。「青」の意味)に赤いユニフォームでプレーさせるという突飛で意外な珍案を考え出したからだ。

私はティガナと同じ反応をする。これは一体どういうことなのか? なぜこの社会は、われわれの安楽と、もろい均衡を築く基準、慣習、簡便さを一貫して破壊しようとするのか?

名高い一人のフランス人作家・哲学者はこの状況を「馬鹿者たちがわれわれを取り巻いている!」と要約した。私は退歩的で、時代遅れで、保守主義者だと言われるかもしれない。だがその中傷は私の心を痛めず、私はそれを受容する。(中略)

とにかくフランス・チームは赤いユニフォームでプレーする。毎回ではないが頻繁にその姿は見られよう。この問題の"専門家たち"によって語られる馬鹿さ加減を聞くのは愉快だ。
「白は平和的すぎ、ブルーは妥協的すぎる。赤は軍旗のように見え、それは好戦的な響きを持つ色だ。またローマとビザンチン帝国の皇帝たちの色でもある。赤は生命、精力、戦いを表現する。それは着る者を英雄的な戦いに駆り立てる」

私は何も赤い色には反対ではない。それは大変美しい。だがフランス代表のユニフォームは……。ティガナは言う。
「赤をつけてフランスのためにプレーすることになっていたら、私は当惑したことだろう。それでも私は兵士のようにプレーしていたかもしれないが、それを好むことはなかったはずだ。私は伝統主義者で老いぼれ呼ばわりされるのを恐れずに言えば、赤いユニフォームでプレーするのは歴史を変えることだと思う」

フランス代表がその109年の歴史の中で、赤いユニフォームでプレーしたのは4度しかない。1906年11月1日のイングランド戦(●0-15)、1954年4月11日のイタリア戦(●1-3)、1972年6月18日、ブラジルでのコロンビア戦(○3-2)、それに1986年5月21日、メキシコの高度2200メートル地点に位置するトラクサカラでのグアテマラ戦(○8-1)だ。「私はそのグアテマラ戦を覚えている。だがそれはトレーニング用ユニフォームでの非公式の練習試合だった」とティガナは述懐する。

2月6日のスペイン対フランス戦で奇妙だったのは、普段は赤でプレーするスペインが金色のユニフォームを選んだことだ。われわれは多分しばらく後に、例えば悪魔の格好をしたベルギー代表、ビール色のユニフォームを着たドイツ代表、ばら色のユニフォームを着たイングランド代表といった、もっと奇妙なものを見ることになるだろう。

幸いにも、地方文化や歴史を尊重する非妥協的な男は今も残っている。2000年EURO時も、フランスはシャンパン色のユニフォームの着用を示唆していた。だが当時の代表監督は、古い時代の愛国主義者であり、戯画的な厳格主義者であるロジェ・ルメールだった。私はルメールが「私は私のブルーのユニフォームが奪われるなら、このユニフォームを夢見た子供だったことを恥じる」と言って、それを拒否したのを覚えている。

選手が伝統や歴史といったものを忘れるようになってかなり長くなる。(中略)ユニフォームの色やジャズのオーケストラによって演奏される国歌は、彼らにとってはキリマンジャロの高さと同じくらいに重要ではない。現フランス代表のウィリアム・ギャラスは、実に気楽にそれを認める。
「赤で何がいけないんだ? 僕はアーセナルで慣れているよ」
挑発的な態度で定評のある代表監督のレイモン・ドメネクとはいえば「私はこの赤いユニフォームが過去の遺産を否定するという印象は持っていない」と、青を愛する純粋主義者たちにショックを与える機会を逃さない。この"新皇帝"の満足そうな態度は、ユニフォーム販売店にとっても申し分はないだろう。(以下、リバプールに関する記述の為、後略)

(以上、抜粋終わり)

「Footballshirtculture.com」のブログでも賛否両論である。
やはりフランスの当事者たちにとっては、非常に重要な事なのだろう。
今後も推移を見ていきたいと思う。


【引用記事】
 サッカーマガジン2008/2/26号 「ジャック・ティベール フットボールを謳う」

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 08-09adidas新ユニフォーム(アウェーモデル)発見!(07/12/29)
 衝撃のスペイン・サード金vsフランス・アウェー赤の激突!〜ユーロで戦うユニフォーム(08/2/8)
posted by yuuki_ono_99 at 15:07 | Comment(10) | TrackBack(1) | 新ユニフォーム情報(2008-09) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>上地雅史さん
フランスはユーロ後に変則的にニューモデルを投入した後、
W杯予選では一度もアウェーモデルを着用しませんでした。
 (同組にホームがブルーのチームがいなかったせいもありますが。。)

もしかしたら、国内でも相当評判が悪いのかもしれませんね。

いずれにしても次のモデルはadidasの最終モデルになりますので、
adidasの意地に期待しましょう。
Posted by yuuki_ono_99 at 2009年10月25日 21:44
「白」には戻せないんですか?
やはりフランスのアウェーは「白」のままがいいです。
「赤」だとフランスらしさがゼロです。
ちなみにスペインは「金」色のユニをやめるみたいですよ。
日本は2006年と同じ「コバルトブルー」がいいです。
韓国も蛍光レッドをやめ、仏大会のユニと同じく「普通の赤」に戻してほしいです。
Posted by 上地雅史 at 2009年10月22日 23:58
>wsuiさん
wsuiさんらしいコメありがとうございます(笑)
我々も今回、青の色調が変わったくらいでケンケンガクガクやっている訳ですから、赤アウェーなど出ようもんなら、大変な事になるでしょうね(苦笑)
国歌独唱のショーアップに関しては、そろそろ見直しの時期ですよね。やはりサッカーマガジンのコラムだったと思いますが、最近の観客減を受けて、もう一度原点に戻って代表戦を国立でやるべきだとか、みんなで大声で君が代を唄って、日の丸を打ち振るような雰囲気を作ろうとかの論調もありましたね。
Posted by yuuki_ono_99 at 2008年02月15日 06:09
これは伝統への冒涜である。。てのはまあ半分冗談ですが(←半分かいっ)
僕はどちらかというとティベール、ティガナやルメールの気持ちに近いかも。
今さら真っ赤なジャパンとか見たくないし。。


選手が伝統や歴史といったものを忘れるようになってかなり長くなる。(中略)ユニフォームの色やジャズのオーケストラによって演奏される国歌は、彼らにとってはキリマンジャロの高さと同じくらいに重要ではない。


たぶんこの一節に集約されるんじゃないかなぁ。古い人間にとっては、
国歌も歌えない世代に迎合したかのように映るのではないでしょうか?
僕は試合前の国歌をアイドルやタレントが歌うことが大嫌いです。
皆が皆ということはないですが、中には自分のコンサートでも
やっているかのような、勘違いした輩もいるし(><)萎えます。

若者受けを狙ったり奇を衒うことが、イコール改革では無いと思います。
サッカーの人気は、魅力的なサッカーをすることでしか得られない。
格好良いユニフォームをしているチームが魅力的なわけではなくて、
魅力的なサッカーをしているチームのユニフォームが真に格好良いんです。


…長文、駄文、ぐだぐだですみません。。
まあ何だかんだ言ったところでアイコンは作るんですが。。。
作ったところでこき下ろすわけですが(笑)
Posted by wsui at 2008年02月15日 01:03
>mallosさん
ユニフォームの場合、ナショナルチームもクラブチームも
限られたカラー、制約されたデザインの中でいかに個性を出すかが、
デザイナーの腕の見せ所ですね。
さらに素材や機能性も追求しなくちゃいけないですしね。
Posted by yuuki_ono_99 at 2008年02月14日 23:06
>なぷるさん
元々、フランス大会の時も優勝するまでは国民は冷めてたりとか、
代表の多国籍化が揶揄されたりとか、いろんな声が出る国ですよね。
Posted by yuuki_ono_99 at 2008年02月14日 23:03
なるほど。デザインではなく斬新な色を使うという流れがきましたか!!
そういえば、JAPANも濃い青からライトブルー気味にイメージチェンジしてましたからねぇ・・・
勉強になります!!

Posted by mallos at 2008年02月14日 22:28
プライドの高いフランス人らしい意見ですね。
確か若年層のサッカー離れが一部報じられてた気がします。
そういうわけでもないでしょうが今回の赤ユニは色々やってみようという表れかもしれませんね。
Posted by なぷる at 2008年02月14日 21:57
>mellosさん
どこの国でもそうですが、賛否両論だと思うんですよね。
あくまでもティベール氏の評であって、これが全てじゃないと思いますし。
ただ今回、オランダの水色、トルコのターコイズ、フランスの赤と、サードではなくてアウェーで斬新な色が出た、
それもNIKEとadidasで、というのは偶然ではなく、一つの流れのような気がします。
あくまでも最終は各国協会の意向でしょうが、もしかしたら、adidasジャパンもアウェーで赤モデルのプレゼンしてたりして…(笑)

とは言え我々第三者的なユニフォームファンは新しいカラーはウェルカムではないでしょうか?

またmallosさんがおっしゃる通り、デザインに関してはadidasは06-07モデルの反動が出ていますね。非対照、曲線多用の流れに対して各国・各クラブが振り子を戻すオファーがあったのかもしれませんね。
Posted by yuuki_ono_99 at 2008年02月14日 21:46
難しいですね。
まあでも選手はあまり違和感を感じてないんでいいんでしょうかね・・・
っていうより、adidasには色ではなくデザインを斬新にしてくれぇーと言いたいですね!!(笑)
Posted by mallos at 2008年02月14日 21:24
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